会長挨拶

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IFTジャパンセクション

会長 久能昌朗(キユーピー(株))

 2020年代は思いもよらず、政治的に、また経済的に世界は分断状況に陥っています。しかし、学術・技術情報活動のグローバル化の勢いは止まらず、その中にあって我が国はややもすると取り残されそうな位置づけになっていると言っても過言ではありません。

 一方、我が国の食品産業の学術・技術情報活動に目を向けますと、我が国の食品産業界は20世紀のうちに欧米から当時の先端情報を取り入れ、さらにそこから得たものに磨きをかけ続けてきました。その成果として、今日の我が国の食品産業の学術・技術情報活動は、原料のことを除けば、我が国単独で自己完結が可能なまでに実践力を高めることが出来ています。

 しかし、ここで改めて食品産業の学術・技術情報について世界に目を向けますと、その内容は非連続に進化してきていると感じずにはいられません。フードテックや食料資源のサステナビリティなどでは、技術的にそんなことは出来るはずがないということについても着々と社会実装が進んでいるという現実があります。そんな現実を捉えて、私は、我が国の食品産業の研究開発者や技術者はこの現実に謙虚に向き合い、改めて欧米の学術・技術情報活動の中に入って、交流と学びを深めていく必要があるのではないかという考えに及んでおります。

 そのような考え方にご関心を寄せてくださる我が国の食品産業の研究開発者や技術者の皆様に、さらに皆様が所属されている食品産業の団体の皆様にご活用いただきたいのがIFTジャパンセクションでございます。

 IFTジャパンセクションの本部組織の、IFT(Institute of Food Technologists、食品技術者協会)は米国のシカゴに拠点を置く米国法にもとづく非営利の食品産業に関する学術・技術情報コミュニティです。世界100ヵ国以上の食品産業の研究開発者や技術者がIFTの会員になっており、そのコミュニティが日々発信する先端情報に接し、コミュニティに参画して自らの課題解決にIFTを活用されています。

 IFTジャパンセクションは、IFT本部と我が国の食品産業の研究開発者や技術者の皆様の仲介役として、皆様のIFT活用度を最大化するための組織として活動しております。食品産業の学術・技術環境の大きな変化の中で、公器としての組織の役割の意義を認識しつつ、皆様にとってより身近な存在なることをめざしてまいります。